マレーシアバイヤー視点 日本企業三つの課題
海外

(2016.02.22)

海外旅行に行くと、日本企業の製品やサービスの品質の高さを実感することが多いと思います。最近では、日本製品やサービスの海外での需要の高さについての報道や記事を、目にする機会も少なくありません。このような事から、「日本製品であれば海外で売れる」との印象をお持ちの方も多いと思います。

高すぎる「メイド・イン・ジャパン」
先日、日本企業の売込に同席する機会がありました。日本企業が売り込んだ商品は、日本では世界的に大人気と考えられている食品です。マレーシア側バイヤーの評価は、「品質には全く問題なし。ぜひ取り扱ってみたい」との反応でした。しかし商品価格については、日本とマレーシアで大きな隔たりがありました。マレーシア側バイヤーの考える市場販売可能想定売値は、日本側の工場渡し価格の半分程度だったのです。これに運送費、通関費用等が加わるわけですから、このままでは販売はほとんど見込めないでしょう。

マレーシア側バイヤーからみた日本企業三つの課題
マレーシア側バイヤーの視点から見ると、日本企業には三つの課題が有るように感じます。

1.メイド・イン・ジャパンへの幻想
2.高品質への信仰
3.現地消費者ニーズへの無頓着

メイド・イン・ジャパンへの幻想
日本での報道等を見ていると、メイド・イン・ジャパンであれば何でも売れている様な印象を受けます。しかしながら実際にマレーシアのスーパーに足を運んでみれば、日本製品と同機能の中国製品が溢れています。つまり、製品やサービスへの消費者の欲求は、日本製製品で無くても十分に満たすことができるのです。

高品質への信仰
消費者がより高品質の商品を求めることは、世界のどの市場でも当然です。しかしながら、高品質に対して高い金額を払って貰えるかは、また別の問題です。購入可能な範囲でできるだけ高い品質の商品を購入する。これが海外消費者の一般的な性向でしょう。「高品質に価値を見出し、より高品質の物を購入するためには、より多くの対価を払う」日本の消費者は、このように行動する数少ない消費者のようです。

現地消費者ニーズへの無頓着
人間にとって、慣れ親しんだ味、習慣、文化を変えることは、簡単できません。例えば、鮨は世界中で大人気と言われています。しかし、マレーシア人の「鮨」が好きとは、生ないサーモンと魚卵の「鮨」が大好きなのです。つまり、いくら日本製品であったとしても、現地消費者に受入れられなければ、購入してもらえません。品質、内容、価格、パッケージ等の現地ニーズに対応するためのカスタマイズは、海外市場では必須なのです。

日本市場向けに造られた高品質の商品を、そのままの味やパッケージで、高価格で販売できる市場は、海外では非常に限られています。富裕層やマニア向けの特殊な商品以外では、非常に難しいでしょう。もしそうでなければ、世界の市場は、日本製品に席巻されているはずです。マレーシア市場で成功している日本企業を見ていると、日本市場向けと同等のマーケティングを、地道に行っています。「日本製だから・・・」という理由だけで売れているとは思えません。マレーシア市場での成功の為には、日本と同様に、マーケティング、営業、プロモーションを行うことが必須なのです。

マレーシアバイヤー視点 日本企業三つの課題
新着情報一覧はコチラ

pagetop